black×cherry ☆番外編追加しました
私は思い悩むけど、昭一おじさまは佐和子おばさまの意見に納得をしたようだった。

「そうだな・・・咲良が嫁に行くのは寂しいけどな。またヘンな男につかまったりしたら大変だ。相手の医者はいい男のようだしな。きっと咲良を幸せにしてくれる。きっと咲良は幸せになるな・・・」

涙を浮かべながら、ひとり言のように呟くおじさま。

佐和子おばさまも、「そうですよ!」とおじさまを慰めていた。

その時。


ブルルルル・・・。


佐和子おばさまのカバンの中で、携帯電話が鳴っていた。

「ちょっとすみません」と断りを入れ、おばさまは電話を手に取った。

「はい、どうしたの?」

どうやら、また仕事の電話のようだった。

社長であるおばさまは、やっぱりいつでも忙しそうだ。

「・・・うん・・・・うん・・・うわー・・・ああ・・・そう・・・。うん、わかった。じゃあ私すぐに行くから。待っててもらって」

電話を切ったおばさまは、「はー」と大きく息をはく。

トラブルでもあったのだろうか。

「どうしたんですか?」

「うん、常連のお客様に、新人の子が失礼をしたみたいでね。かなりご立腹らしいから、私が行ってお詫びをするわ」

言いながら、佐和子おばさまはささっと帰り支度を整える。

おおらかな笑顔だったおばさまが、今は早くも仕事モードだ。

「ごめんなさいね、ここで失礼させていただきます。昭一さん、ごちそうさまでした」

「いえ。お仕事がんばってください」
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