black×cherry ☆番外編追加しました
「はい」

笑顔で応えると、おばさまは、黒崎さんに色っぽいハンターのような目を向けた。

「黒崎さん、今日はお会いできて嬉しかったです。また今度、是非お食事でも。よかったら連絡ください。お待ちしてますね」

「いや・・・」と戸惑う黒崎さんに、おばさまは有無を言わさず自分の名刺を握らせた。

そして笑顔で手を振ると、嵐のように去ってしまった。

「・・・」

「・・・」

「・・・」

残された私たちは、しばらくぽかんとしてしまう。

けれど我に返った黒崎さんが、握った名刺を眺めながら苦悶の表情で呟いた。

「・・・これ、どうすればいいんですか・・・」

「連絡すればいいんじゃないか。『食事でも』って言ってたし。ずいぶん気に入られたなー。いいじゃないか、佐和子さん美人だし。おまえ年上好きだろう」

昭一おじさまは、「ははは」と笑って楽しそう。

それに反して、黒崎さんはむすっと不機嫌顔になる。

「いや。本気で困るんですけど」

「いいじゃないか。『友達から』って言ってたし。気軽に食事にでも行ってみれば」

「嫌ですよ」

「まあまあ、そう頑なになるなって。美人だし頭はいいし・・・佐和子さんはいい女だぞ。・・・あ、けどちなみにな、一応言っておいた方がいいか。

佐和子さん、年上って、おまえにしたら本気でかなり年上だ。確か今は48」

「!?はっ・・・!?」

黒崎さんが、鋭い目を見開いた。

おばさまの若々しさを思ったら、無理もない反応だ。

「年上って・・・。35、6くらいかと」

「ははは。だろー。化粧品とエステの会社経営してんの。効果あるってわかるだろ」

「・・・効果っていうか・・・。魔女レベルだな・・・」
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