black×cherry ☆番外編追加しました
おじさまは、「せめて魔法使いって言ってやれ」と笑っていたけど、黒崎さんは笑わなかった。

佐和子おばさまの年齢が、相当衝撃だったよう。

その時、コンコン!と部屋のドアがノックされ、ウエイトレスの女性が礼をして入室してきた。

手には、お盆にのったコーヒーが。

「お待たせして申し訳ありません。お一人帰られるということだったので、三人分お持ちしました」

「ああ。ありがとう」

おじさまが応えると、ウエイトレスはそれぞれの位置にコーヒーセットを置いていく。

香ばしくていい香り。

控えめな装飾の、カップとソーサーも素敵だった。

「すぐにデザートもお持ちします」

笑顔で言うと、ウエイトレスは、再び礼をして部屋の外に出て行った。

「やっとフォンダンショコラだなあ。咲良、待ちきれなかっただろう」

「はい。楽しみにしてました」

コーヒーがきたことで、話の流れも変化して、うきうきとしたデザートモードに切り替わる。

黒崎さんは、相変わらずに険しい顔をしてるけど・・・。


ブーブーブーブー・・・。


今度は、昭一おじさまの胸元にある携帯が音を出していた。

「はい」と電話に出た後で、おじさまの顔は徐々に厳しいものへと変化した。

「・・・ああ、わかった。すぐに行く」

佐和子おばさま同様に、仕事に関わることだろうか。

銀縁眼鏡の奥の目が、鋭い眼差しに変わっていた。
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