black×cherry ☆番外編追加しました
「黒崎さんは、子どもの時にミカちゃんで遊んだことはありますか?」

一生懸命考えて、そして、勇気を出して捻りだしたひと言だった。

けれどすぐ、言わなければよかったと私は後悔してしまう。

「遊ぶわけねえだろ・・・男だぞ」

黒崎さんから、一瞬にして怒りのオーラが放たれた。

私の背筋が凍りつく。余計なことを聞いてしまった。

どうしよう・・・と震えながらも、聞いた理由を告げてみた。

「あの・・・お姉さまがいるとか、お友達の女の子と一緒に・・・とか、子どものときなら、遊んだことがあったかなって思いまして・・・」

実際私は、幼稚園までは共学だったこともあり、男の子とミカちゃんで一緒に遊んだ記憶があった。

逆に、男の子の好きな電車や車のおもちゃでも、一緒に遊んだ記憶があるし・・・。

「うちは弟と二人兄弟。母親は弟を産んですぐに他界してるから。親父と三人、男ばっかで女ものなんて家にひとつもなかったな」

「あ・・・そうだったんですね・・・」

「ああ。それに、おとなしいタイプじゃなかったし。人形遊びとか、一度もした覚えはない」

「・・・そうなんですね・・・。すみません・・・」

言いにくいことを言わせてしまった。

話しかける前よりも、空気が悪くなったかもしれない。

再び静まり返る車内。

次の言葉にしばらくの間悩んでいると、今度は黒崎さんから質問された。

「おまえは、あれからホストクラブに行ってないのか」

「!」

突然の質問に、胸がドキリと跳ね上がる。

できれば、忘れてほしい過去だった。

特に、当時のことをよく知っている、黒崎さんには早く忘れてほしいと思う。
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