black×cherry ☆番外編追加しました
そして私は、次の日からほぼ毎日、ホストクラブに通ってしまった。

当然、後ろめたい気持ちはあったから、家には「友達とごはんを食べに行く」と嘘をつき、20時までには帰宅した。

わずかな時間でも、彼に会いたい。

思い返すと、自分の単純さに恥ずかしくなってしまうけど、私は、かっこよくて優しい彼にすぐに夢中になっていた。


『咲良だけは特別だよ』


何度も言ってくれていた。

だから私は客ではなくて、彼の彼女なんだって、そう思って疑わなかった。

会う場所が、いつもホストクラブだということも、忙しい彼と会うためには当たり前だと思っていたし、喜んでくれるから、自分は飲まないお酒や料理を望まれるままに頼んでいたんだ。

兼業している仕事がうまくいっていないと聞いて、お金を渡したりもした。

後になって、「兼業なんてしていない」と刑事さんから聞いたけど・・・。

彼に夢中だった私は、仕事の内容などなにも聞かず、困っている彼の力になりたい一心で、お金を渡していたのだった。




私の家は、曾祖父の代から続く病院・・・羽白(はねしろ)総合病院を経営している。

現在は、父方の祖母が理事長で、父が病院長として働いている。

祖父も健在で、非常勤医師としてときどき顔を出すけれど、ほとんどは家で趣味の盆栽を楽しんでいる生活だ。

祖父はとてものんびり屋なので、「いてもいなくても同じ」と、祖母もそれでよしとしている。

そんな私の家は、かなり裕福で、特に父は一人娘の私に金銭的に甘かった。

一緒にいられる時間がない分、お金はきっと、父なりの愛情表現だったと思う。

普段からおこづかいはたくさんくれて貯金もあったし、自由に使っていいクレジットカードを渡されており、ホストクラブに通うお金に困ったことは一度もなかった。
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