black×cherry ☆番外編追加しました
星の塔美術館は、緑あふれる広い敷地の公園内に建っている。

すぐそばにある駐車場に車を止めると、そこからまた美術館まで歩道を歩いて約10分。

広く大きな公園は、敷地内の移動だけでも時間がかかって大変だ。



美術館の裏側から正面へと回ってみると、静かだった景色が一転、にぎやかなものに変化した。

私たちは、建物の広場の前で立ち止まる。

「すごい人ですね・・・」

「・・・まあ、ある意味予想通りだけど」

最終日だからだろうか、たくさんの女性たちで広場がわいわいにぎわっている。

ミカちゃんパネルもあちらこちらに飾られていて、ポーズをとって写真を撮る女の子たちも多くいた。

20代くらいの、女の子グループが多いだろうか。

続いて3、40代、50代のおしゃれで素敵な女性たち。

10代と思われる女の子は、少数派な印象だ。


(まあとにかく、女の子ばかりだね・・・)


時々、男性の姿もあるけれど、明らかに彼女の付き添いで来ている感じの人だった。

しかも、ちょっと中世的でおしゃれな感じの男の子。

コワモテな感じの男性は、誰一人として見当たらない。


(黒崎さんを除いては・・・だけど)


「予想はもちろんしてたけど。それ以上だな・・・」

心なしか、黒崎さんの顔色が悪くなった気がする。

確かにここは、黒崎さんにとってアウェーな環境かもしれない。


(・・・ならば)


「もしよかったら、外で待っていてください。私、ひとりでさっと見てきますから」
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