冬の恋、夏の愛

一時間かけて『お疲れ様』を言いに行った甲斐あり、また羽島さんから誘いがくるようになった。

行き先なんて、どこでも良かった。羽島さんと会えるなら、それで。

日曜日に野球の試合があるときは、必ず応援に来てくれた。試合に勝った日は、涼介カップルと一緒に飲みに行くことが、最高のご褒美になった。

暑い夏を過ぎても、センチメンタルな秋を過ぎても、寒い冬の訪れを感じても、ふたりは絶妙な距離を保ったまま、穏やかな関係が続いていた。

そして今年のカレンダーも、残すところあと一枚となった。

いつもならこの時期は、野球もシーズンオフだし、幸せそうなカップルばかりが目について、つまらなかったけれど。

すぐそばに、羽島さんの笑顔がある。それだけで今年は、幸せな気分に浸ることができた。

十二月初めの土曜日、羽島さんと桜木町駅で待ち合わせ。ランドマークタワーのツリーと、プロジェクションマッピングを観て、適当に食事を済ませた。

羽島さんはいつも、いろんな話を楽しそうにする。内容はだいたい、次の日には忘れてしまいそうな、なんでもない話だ。

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