冬の恋、夏の愛
風呂場から出ると、テーブルには朝ごはんが並び、甘いカフェオレの香りが部屋に漂っていた。ふたりで向かい合って座ると、いただきますをして食べ始めた。

「関さんって、意外と甘党なんですね」

「まぁ……」

こんな図体のデカイ男が、甘党って……。なんだか恥ずかしく思えた。

「なんか、いろんな関さんを知られて、うれしいです」

オレなんかのことを知って、うれしい? もっと愛想が良くて、もっとかっこいい男は、山ほどいるのに。羽島さんは、稀に見る変わり者だ。

「寝顔も、かわいかったし」

口にしたカフェオレを、思わず噴き出しそうになった。

「やめてよ、そんなこと言うの」

「だって……」

羽島さんが、いたずらな笑みを浮かべた。ずるい。そのかわいさは、反則。

「また、遊びに来てもいいですか?」

泊まりは、勘弁して。次は確実に狼になってしまうから。

そう思いながらも、うなずくオレがいた。

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