冬の恋、夏の愛

羽島さんと出会って、ちょうど一年。今年もクリスマスがやってきて、羽島さんはひとつ大人になった。

クリスマスだから、と言って、豪華なクリスマスディナーを食べるわけでもなく、いつもと同じような居酒屋で乾杯をした。

『焼き鳥屋さんに行きたい』って、言うから。今さらながら、もうすこし気の利いた店をチョイスすれば良かったと、後悔。

だって今日は、羽島さんの誕生日だから。

「おめでとう」

なんだか照れ臭くて、ボソリとお祝いの言葉を言った。

「ありがとう」

頬を染めて、羽島さんもなんだか照れ臭さそうだ。

「好きなの、どうぞ」

羽島さんの前にメニュー表を広げる。いつもとなにも変わらない。注文はいつも、羽島さんの好みに任せていた。

「たまには関さんが選んでくださいよ」

「いいよ。なんでも食うから」

相変わらず、ぶっきらぼうにしか話せない。よくこんなオレと一年も、付き合ってきたな。

ん? 付き合って……? いや。オレたちは、そんな関係じゃない。

そろそろケジメをつける時期なのかな? 友だちのままか、恋人になるのか。

そんなことを考え始めると、急に緊張してきた。もちろん、羽島さんにはバレないように、今日もポーカーフェイスを決めこんだ。



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