冬の恋、夏の愛
試合は三対二で勝ち、いろんな意味でホッとした。祝杯をあげるために『フルカウント』に集合。先に女の子ふたりが店に向かい、着替えを済ませてから、オレたちが行くことになった。

「どう? 順調?」

シャワーを浴び、着替えをしながら涼介が聞いてきた。オレと莉乃ちゃんの関係を、涼介が気にかけてくれていた。

「うん、まぁ……」

「なんだよ? 『まぁ』って。なにか問題でもあるのか?」

さすがは涼介。オレのことをよくわかっているな。そう思いながら、苦笑いをした。

「なんていうか、その……距離を縮めるのが難しい……っていうか」

「羽島さん、ガード固いんだ?」

「いや。オレが必要以上に気を遣っているというか」

そう口にしたオレを、涼介が黙ってみつめたあと、安心したような笑みを浮かべた。

「やっぱり寿彦を紹介して良かった」

涼介は、そんなふうに言ってくれたけれど。はたして莉乃ちゃんは、オレのことをどう思ってくれているのか。会うたびにうれしそうにしてくれたり、キスをしたがったり、別れる間際は寂しそうにしてくれても、やっぱり自分に自信が持てずにいた。

自分から近づけば、遠ざかるんじゃないか……って。

「距離はそのうち縮むさ」

ドンッとオレの背中を涼介が押した。そうだ。きっとそのうち距離は縮むよ、と自分に言い聞かせた。





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