冬の恋、夏の愛
いつものように四人で、おいしい酒を楽しんだ。オレは涼介みたいにうまく話せないし、喜怒哀楽の表現も下手だ。それでも莉乃ちゃんは、オレと一緒にいることを楽しいと言ってくれた。
店の前で涼介たちと別れると、駅に向かって歩き始めた。商店街のアーケードを抜けた頃、思いもよらず雨が降り始めていた。
「今日、雨予報やったっけ?」
眉をひそめる莉乃ちゃんの手を握り、駆け出した。駅に向かうとずぶ濡れになりそう。そう思ったオレは、一目散に自分の家を目指した。
コーポの階段を、手を繋いだまま駆け上がる。
「はぁ」
息を切らす莉乃ちゃんを、部屋へと案内した。予期せぬふたりっきりに、いまさらながら胸の鼓動が加速した。
「駅に向かうより、家に来てもらったほうがいいと思って」
下心がなかったことをアピールしたくて言った。
「お気遣いありがとう」
そう言った莉乃ちゃんに笑顔はなかった。下心がなかったことをアピールしたのが、逆効果だったか? 動揺する気持ちを隠すようにして、ギュッと唇を噛んだ。
「どうぞ」
タオルを手渡すと、小さく「ありがとう」を言って受け取った。いつもの明るい莉乃ちゃんとは違う。雨のせいにして、部屋に連れ込むだなんて! と、怒っているのだろうか?
「カフェオレでも飲む?」
冷えた身体には温かい飲み物を。自分では気を遣ったつもりが、莉乃ちゃんはなんだか哀しげな目をしていた。
「どうしたの?」
こうなるともう、どうしたらいいのかわからない。思い切って莉乃ちゃんに聞いてみると、タオルで口元を覆った。
店の前で涼介たちと別れると、駅に向かって歩き始めた。商店街のアーケードを抜けた頃、思いもよらず雨が降り始めていた。
「今日、雨予報やったっけ?」
眉をひそめる莉乃ちゃんの手を握り、駆け出した。駅に向かうとずぶ濡れになりそう。そう思ったオレは、一目散に自分の家を目指した。
コーポの階段を、手を繋いだまま駆け上がる。
「はぁ」
息を切らす莉乃ちゃんを、部屋へと案内した。予期せぬふたりっきりに、いまさらながら胸の鼓動が加速した。
「駅に向かうより、家に来てもらったほうがいいと思って」
下心がなかったことをアピールしたくて言った。
「お気遣いありがとう」
そう言った莉乃ちゃんに笑顔はなかった。下心がなかったことをアピールしたのが、逆効果だったか? 動揺する気持ちを隠すようにして、ギュッと唇を噛んだ。
「どうぞ」
タオルを手渡すと、小さく「ありがとう」を言って受け取った。いつもの明るい莉乃ちゃんとは違う。雨のせいにして、部屋に連れ込むだなんて! と、怒っているのだろうか?
「カフェオレでも飲む?」
冷えた身体には温かい飲み物を。自分では気を遣ったつもりが、莉乃ちゃんはなんだか哀しげな目をしていた。
「どうしたの?」
こうなるともう、どうしたらいいのかわからない。思い切って莉乃ちゃんに聞いてみると、タオルで口元を覆った。