冬の恋、夏の愛
手を繋いだまま、幸せな気持ちで眠った日曜日。いつの間にか離れていた手に気がついて、ハッとして目覚めた月曜日。

「おはよう」

甘いカフェオレの香りが、鼻をくすぐる。今日は、仕事をさぼってふたり、ベッドの上で一日中過ごしたい。……なんて、言ってはいられない。慌ててベッドから起き上がった。

「おはよう」

寝起きで爆発するくせ毛を撫でつけながら、洗面所に向かった。顔を洗って、ガラガラとうがいをする。鏡には、昨日の余韻に浸ってにやける、オレの顔。

……ダメだ。今日は、仕事だ。パチンと頬を叩いて気合いを入れると、何食わぬ顔でリビングに戻った。

「ホンマは、仕事さぼって寿彦さんとゴロゴロしたい」

目の前で莉乃ちゃんが笑いながら、カフェオレを口にした。あ、オレと同じことを考えていたんだ? そう思っただけで、幸せな気分になる。

「仕事がんばれば、またご褒美があるよ」

そう言って莉乃ちゃんを元気づけたつもりが、自分が元気をもらう。今週、がんばれば、また莉乃ちゃんに会えるから。

「うん。がんばる」

みつめ合って、どちらかともなく交わす口づけは、甘いカフェオレの味がした。

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