冬の恋、夏の愛
②
「新横浜まで、JRに乗れば行けますよね?」
桜木町駅に向かう道すがら、横浜に慣れていないであろう羽島さんが、不安げな表情を浮かべながらオレに質問をした。
「新横浜まで、送るよ」
「いいんですか?」
さすがのオレでも、不慣れな人間を置いて自分だけ帰るようなまねはしない。
「ああ」と小さくつぶやく、オレ。明るい笑顔を見せながら「ありがとうございます」と言う、羽島さん。新横浜までの二十分弱、なにを話せばいいのやら。
「野球、好きなんですか?」
人混みにのまれそうになりながら、羽島さんが後ろから話しかけてきた。プロ野球選手名鑑と財布、あとは無口なスマホしか入っていないリュックには、バットとボールのキーホルダーをつけていた。
「ええ、まぁ……」
「観るほうですか? やるほうですか?」
まさか、そんな質問をされるだなんて。エスカレーターに乗りながら、少しだけ顔を羽島さんに向けると「どっちも」と答えた。
「関さん、野球やるんですね! どこのポジションですか?」
ポジション聞いたって、野球知らなかったら意味ない……そう思いながら「ショート」と答えた。
「ショートですか? すごい」
『すごい』って。わかってんのかな?
「たしか海津さんは、サードでしたよね? 一緒の野球チームなんですか?」
……いろいろつっこんでくるなぁ。営業をしているだけあって、話上手っていうか。
「同じ職場の草野球チーム」
「そうなんですね。一度、観に行ってみたいです」
え? 草野球、観たいって? 好奇心旺盛な子だな。
「それならまず、プロ野球を観た方が」
そこまで言って、はっとした。なんだかまるで、オレから誘っているみたいだ。
桜木町駅に向かう道すがら、横浜に慣れていないであろう羽島さんが、不安げな表情を浮かべながらオレに質問をした。
「新横浜まで、送るよ」
「いいんですか?」
さすがのオレでも、不慣れな人間を置いて自分だけ帰るようなまねはしない。
「ああ」と小さくつぶやく、オレ。明るい笑顔を見せながら「ありがとうございます」と言う、羽島さん。新横浜までの二十分弱、なにを話せばいいのやら。
「野球、好きなんですか?」
人混みにのまれそうになりながら、羽島さんが後ろから話しかけてきた。プロ野球選手名鑑と財布、あとは無口なスマホしか入っていないリュックには、バットとボールのキーホルダーをつけていた。
「ええ、まぁ……」
「観るほうですか? やるほうですか?」
まさか、そんな質問をされるだなんて。エスカレーターに乗りながら、少しだけ顔を羽島さんに向けると「どっちも」と答えた。
「関さん、野球やるんですね! どこのポジションですか?」
ポジション聞いたって、野球知らなかったら意味ない……そう思いながら「ショート」と答えた。
「ショートですか? すごい」
『すごい』って。わかってんのかな?
「たしか海津さんは、サードでしたよね? 一緒の野球チームなんですか?」
……いろいろつっこんでくるなぁ。営業をしているだけあって、話上手っていうか。
「同じ職場の草野球チーム」
「そうなんですね。一度、観に行ってみたいです」
え? 草野球、観たいって? 好奇心旺盛な子だな。
「それならまず、プロ野球を観た方が」
そこまで言って、はっとした。なんだかまるで、オレから誘っているみたいだ。