冬の恋、夏の愛

うれしいことが連鎖する九月。万年Bクラスの横浜ベイブルースが奇跡の三位。このままうまくいけば、クライマックスシリーズ進出も夢ではない。

我が青空スターズも、今年は投打がうまく噛み合い、連勝していた。苦手な流星サンダーズにも勝つことができた。

もしかしたら、勝利の女神は莉乃ちゃんかも? なんて思いながら、祝杯をあげる回数が増えた。そして、そのまま家に連れて帰ると、愛を確かめ合うのがパターンになった。

柔らかな肌に触れるたび、幸せな気分に浸ることができた。感謝の気持ちをうまく伝えることができなくて、代わりにギュッと手を握った。

それでも莉乃ちゃんには、伝わっている気がしていた。隣で明るく笑う莉乃ちゃんからは、オレと同じような幸せオーラが出ていた。

「寿彦さん、好き」

少し照れながら笑うその顔を見るのが、オレのいちばんの至福のひとときとなった。

でも、そんなことは言えない。今日もポーカーフェイスで「うん」と返事をする。たくさんの気持ちを込めた、最高の愛情表情だ。



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