冬の恋、夏の愛
新しい子……って。女の子は使い捨てじゃない。すぐに代わりの子なんて、オレには無理だ。

「それにしても、もったいない」

……そんなこと、言われなくてもわかっている。外見も中身も、あんなにかわいい子、他にはいない。オレみたいな変わり者を好きになってくれる子も、いない。

オレがこんなにも好きになった子も、いない。

恋愛で、泣きたいほど切ない気持ちになったのは、生まれて初めてで。今、涼介が目の前にいなかったら、間違いなく、泣いているよ、オレは……。

「女の子は、星の数ほどいて。その分、恋もあるから、気にするな」

オレは、涼介とは違う。もう二度と、恋なんてできないよ……。

「……莉乃ちゃんは、良かったのかな?」

ピーナッツをポーンと投げて口に入れると、涼介が「なにが?」と聞いた。

「オレと、別れて……」

「さぁ? 気になるなら、会いに行けば?」

「家には行ったことがないから」

もし、オレに嫌気がさして別れたのなら? ストーカーみたいになってしまう。

「穂花に聞こうか?」

家は知らないけれど、会社ならわかる。

「いや。いい」

思いきって明日、会いに行こう。まだ三日ほどしか経っていない。今なら、なんとかなるかもしれない。

「飲んで、忘れな? そのうち時間が解決するから」

ぶっきらぼうな言い方だけれど、涼介なりに心配してくれているのがありがたかった。

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