冬の恋、夏の愛
④
翌日、仕事を定時に終えると、莉乃ちゃんの住む街へと出かけた。あの時は、『お疲れ様』を言うためだけに、会いに行った。『メールや電話もあるのに?』って、笑われたな。でも、気持ちは充分に伝わった。
今日も、伝わるはず。このまま別れることになったとしても、ひと言、謝りたかった。傷つけてごめん、と。
迷惑がられても、仕方がない。それでも、会いたかった。迷惑なら、もう二度と会わないから、今夜、ひと目だけでも。
莉乃ちゃんが働いている会社の、オフィスビルの下。もう帰ったかもしれない。まだ、ビル内にいるかもしれない。一時間だけと決めて、待つことにした。
秋風の冷たさが身に沁みる。コンビニで買ったコーヒーで手を温めながら、待った。莉乃ちゃんに買ったホットレモンがすっかり冷えた頃、スーツ姿の男性と一緒に莉乃ちゃんが現れた。
思わず、身を隠した。気がつかない莉乃ちゃんは、男性と一緒に話しながら歩いていった。ストーカーみたいだと自覚しながらも、後を追った。
「このまま、飲みに行く?」
「はい」
「あ、でも、彼氏に怒られる?」
『彼氏』という言葉を聞いて、ドキッとした。オレはもう、莉乃ちゃんの彼氏でもなんでもないけれど。
「いませんから、いっぱい誘ってください!」
『いっぱい誘ってください!』
莉乃ちゃんは、明るい声でそう言った。やっぱり、オレに嫌気がさしていて、新しい相手を探していたんだな……。
来なければ良かった……。知らない街で、冷たい秋風に吹かれながら、これから来る寂しい季節を思った。
今日も、伝わるはず。このまま別れることになったとしても、ひと言、謝りたかった。傷つけてごめん、と。
迷惑がられても、仕方がない。それでも、会いたかった。迷惑なら、もう二度と会わないから、今夜、ひと目だけでも。
莉乃ちゃんが働いている会社の、オフィスビルの下。もう帰ったかもしれない。まだ、ビル内にいるかもしれない。一時間だけと決めて、待つことにした。
秋風の冷たさが身に沁みる。コンビニで買ったコーヒーで手を温めながら、待った。莉乃ちゃんに買ったホットレモンがすっかり冷えた頃、スーツ姿の男性と一緒に莉乃ちゃんが現れた。
思わず、身を隠した。気がつかない莉乃ちゃんは、男性と一緒に話しながら歩いていった。ストーカーみたいだと自覚しながらも、後を追った。
「このまま、飲みに行く?」
「はい」
「あ、でも、彼氏に怒られる?」
『彼氏』という言葉を聞いて、ドキッとした。オレはもう、莉乃ちゃんの彼氏でもなんでもないけれど。
「いませんから、いっぱい誘ってください!」
『いっぱい誘ってください!』
莉乃ちゃんは、明るい声でそう言った。やっぱり、オレに嫌気がさしていて、新しい相手を探していたんだな……。
来なければ良かった……。知らない街で、冷たい秋風に吹かれながら、これから来る寂しい季節を思った。