冬の恋、夏の愛
②
正月が明け、慌ただしい毎日が始まった、最初の日曜日。一月の、寒風が吹く青空の下、快音が耳に響いた。
クリスマスに寄りを戻してから、莉乃ちゃんを離したくない一心で、ほんの少し、自分から歩み寄るようになった。でも、やっぱり自分の口から『好き』だとは言えない。
今日も莉乃ちゃんは、寒空の下、野球の試合を観に来てくれていた。それだけで、単純なオレの打率はグンとあがった。
おかげで青空スターズは、九対二で勝利した。試合に勝った日は、商店街にある行きつけの居酒屋『フルカウント』で祝杯をあげるのが恒例。
「いらっしゃい」
店長の古川さんが直々ビールを運んでくれた。青空スターズは、高校時代からの友人である涼介と、オレが働いている青空区役所の草野球チームだ。
「来週は、サンダーズとの試合ですね」
流星サンダーズは、流星区役所の野球チーム。この近辺の草野球チームの中でいちばん強い。プロのファームチームに勝ったとか、チームの元エースがプロ野球の入団テストに合格して育成契約を結んだとか。
「店長、よくご存知で」
涼介がビールを受け取りながら、笑顔を見せた。そんなときもオレは無表情で、それを受け取る。
「青空スターズのファンですから。応援していますよ!」
「ありがとうございます」
愛想のいい涼介のまねごとはできず、その様子をぼんやりとながめた。
「はい、グラス持って! 乾杯!」
涼介の音頭でオレと莉乃ちゃん、涼介とその彼女も一緒にグラスを合わせた。
ぷはぁ。試合に勝った日のビールのうまいこと、うまいこと! 唇についた泡を舌でペロリと拭った。
クリスマスに寄りを戻してから、莉乃ちゃんを離したくない一心で、ほんの少し、自分から歩み寄るようになった。でも、やっぱり自分の口から『好き』だとは言えない。
今日も莉乃ちゃんは、寒空の下、野球の試合を観に来てくれていた。それだけで、単純なオレの打率はグンとあがった。
おかげで青空スターズは、九対二で勝利した。試合に勝った日は、商店街にある行きつけの居酒屋『フルカウント』で祝杯をあげるのが恒例。
「いらっしゃい」
店長の古川さんが直々ビールを運んでくれた。青空スターズは、高校時代からの友人である涼介と、オレが働いている青空区役所の草野球チームだ。
「来週は、サンダーズとの試合ですね」
流星サンダーズは、流星区役所の野球チーム。この近辺の草野球チームの中でいちばん強い。プロのファームチームに勝ったとか、チームの元エースがプロ野球の入団テストに合格して育成契約を結んだとか。
「店長、よくご存知で」
涼介がビールを受け取りながら、笑顔を見せた。そんなときもオレは無表情で、それを受け取る。
「青空スターズのファンですから。応援していますよ!」
「ありがとうございます」
愛想のいい涼介のまねごとはできず、その様子をぼんやりとながめた。
「はい、グラス持って! 乾杯!」
涼介の音頭でオレと莉乃ちゃん、涼介とその彼女も一緒にグラスを合わせた。
ぷはぁ。試合に勝った日のビールのうまいこと、うまいこと! 唇についた泡を舌でペロリと拭った。