冬の恋、夏の愛
楽しい会話とおいしい食事で満たされた帰り道。

「莉乃ちゃん」

「はいっ!」

「うちに住めば?」

お互いにひとり暮らしだから、一緒に住めば、行き来する手間が省ける。試合に勝って、うまい酒を飲んで、気分がよくなったオレは、前々から思っていたことを口にした。

暗い帰り道、どさくさに紛れて握った手から、オレの思いを感じてくれたら、うれしい。

「帰る必要、ある?」

「ない」

「決まった」

ぎゅっと強く手を握ると、半ば強引な同棲の提案も、受け入れてもらえる気がした。





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