冬の恋、夏の愛
食事のあとは、チョコレートの登場。

「これ、めっちゃおいしい生チョコ。一緒に食べよう?」

もちろん、本命チョコだよね? なんて、絶対に聞けない。

「あ、そうだ」

職場でいただいたチョコレートもついでに、と思い、ビジネスバッグの中をあさった。

「義理チョコ」

そう言って、テーブルの上に並べられたチョコレートたち。それを睨みつけるようにじっとみつめる、莉乃ちゃん。

「どうしたの?」

声をかけると、ううんと、首を横に振った。

「いただきます」

莉乃ちゃんからのチョコレートをいちばんにいただく。

「食べてみ?」

ぼんやりとしている莉乃ちゃんに、ピックで刺した生チョコを差し出した。

「やきもち?」

「え?」

「莉乃ちゃん以外の女性からチョコ、もらってきたから」

「べ、別にやきもちなんか……」

いや。明らかに様子がおかしい。でも、他に原因が思いつかない。

「……かわいいな」

思わず、本音をつぶやくと、自分で生チョコを食べた。そんなオレを、莉乃ちゃんが真顔でみつめる。

「食べたければ、どうぞ」

莉乃ちゃんが小さくありがとうを言って、生チョコを口にした。もしかしたら、チョコレートを食べたかっただけなのかもしれない。

女心は、よくわからない。

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