冬の恋、夏の愛
診察の結果、インフルエンザの疑いがある……ということで。すぐに涼介に連絡を入れて、一週間ほど、多治見さんに莉乃ちゃんを預けたいと願い出た。

快諾してくれたふたりに感謝し、ひとり、部屋に戻った。もう、莉乃ちゃんは部屋を出たようで、姿がなかった。

ふぅ、と小さくため息をつくと、ベッドに身を投げた。さっきまであった莉乃ちゃんの温もりは、感じられない。インフルエンザでやむを得ずの別居。それなのにやけに不安な気分になるのは、体調が悪いせいだと言い聞かせて、眠りについた。



ブーブーブーという機械音に起こされ、目を覚ます。どれくらい寝ていたのかわからないけれど、慌てて電話に出た。

『寿彦、元気にしてる?』

何も知らない聖子からの電話。あまりにもタイミングが悪すぎた。

「……していない」

『何それ? どこか具合でも悪いの?』

「インフルエンザだよ」

……情けないことに、だ。

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