冬の恋、夏の愛
莉乃ちゃんが驚いて、後ずさる。にっこりと微笑む聖子。なんたかんだと質問責めにされるのが、目に見えていた。正直
、面倒臭い。莉乃ちゃんの手を取ると、
なにも言わずにその場から立ち去ろうとした。

「まだ返事、聞いていないよ」

「ちょっと考えさせて?」

「わかった。じゃあ、また」

聖子は、洋菓子店の中に入っていった。この店は、聖子のお気に入りだ。バレンタインにもらったチョコレートも、たしかこの店のものだ。

「莉乃ちゃん? どうしたの」

急に足を止めた莉乃ちゃん。知らない女との会話に、驚いたのか?莉乃ちゃんは、聖子のことを知らない。

「ううん。ケーキ、早く食べたいな」

莉乃ちゃんの笑顔にホッとした。聖子のことを知らないから、女友だちか、はたまた浮気相手だとか思われていないか、気になったのは確かだ。
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