冬の恋、夏の愛
④
「カフェオレ、飲む?」
「うん」
家に帰るとさっそく、テレビをつけた。野球中継を観ていると、莉乃ちゃんが気を利かせて、お茶の準備を始めた。
「寿彦さーん、これ、なに?」
「えー?」
「真っ赤な包装紙に包まれた箱。お菓子か、なんか?」
バレンタインに、聖子からもらったチョコレートのことだ。日持ちがするから、ほったらかしになっていた。
「ああ、食べるの、忘れていた」
「……」
莉乃ちゃんが何かつぶやいた気はしたけれど、ホームランの歓声とともに、かき消された。
「おー! 入った!」
莉乃ちゃんが声をかけてくれて、テーブルに座った。
「いただきまーす」
「これも、よかったら」
テーブルの中央に、さっき莉乃ちゃんが持ってきてくれた、真っ赤な包装紙に包まれた箱を引き寄せた。
「中身は? 開けてもいい?」
「どうぞ」
莉乃ちゃんがガサゴソと包みを開けた。
「手紙、入っている……よ」
「一緒に捨てておいて」
「え? でも……大切なメッセージやないの?」
手紙を『捨てろ』と言われた莉乃ちゃんは、躊躇した。
「読んだから、いい」
「でも、せっかくのメッセージ……」
「聖子からだから、いいよ」
莉乃ちゃんからの手紙ならともかく、妹からもらった手紙を、いちいち保管はしない。ありがたいとは思うけれど。
「聖子さんって、もしかして……」
「ああ。さっき会ったアイツ」
ケーキを平らげ、チョコレートに手を伸ばした。さりげなく、莉乃ちゃんの方に箱を近づけ、無言で『食べたら?』と勧めた。
「いただきます!」
莉乃ちゃんは素直にそれに応じる。やっぱり女の子は甘い物が好きだな。そう感じた。
「うん」
家に帰るとさっそく、テレビをつけた。野球中継を観ていると、莉乃ちゃんが気を利かせて、お茶の準備を始めた。
「寿彦さーん、これ、なに?」
「えー?」
「真っ赤な包装紙に包まれた箱。お菓子か、なんか?」
バレンタインに、聖子からもらったチョコレートのことだ。日持ちがするから、ほったらかしになっていた。
「ああ、食べるの、忘れていた」
「……」
莉乃ちゃんが何かつぶやいた気はしたけれど、ホームランの歓声とともに、かき消された。
「おー! 入った!」
莉乃ちゃんが声をかけてくれて、テーブルに座った。
「いただきまーす」
「これも、よかったら」
テーブルの中央に、さっき莉乃ちゃんが持ってきてくれた、真っ赤な包装紙に包まれた箱を引き寄せた。
「中身は? 開けてもいい?」
「どうぞ」
莉乃ちゃんがガサゴソと包みを開けた。
「手紙、入っている……よ」
「一緒に捨てておいて」
「え? でも……大切なメッセージやないの?」
手紙を『捨てろ』と言われた莉乃ちゃんは、躊躇した。
「読んだから、いい」
「でも、せっかくのメッセージ……」
「聖子からだから、いいよ」
莉乃ちゃんからの手紙ならともかく、妹からもらった手紙を、いちいち保管はしない。ありがたいとは思うけれど。
「聖子さんって、もしかして……」
「ああ。さっき会ったアイツ」
ケーキを平らげ、チョコレートに手を伸ばした。さりげなく、莉乃ちゃんの方に箱を近づけ、無言で『食べたら?』と勧めた。
「いただきます!」
莉乃ちゃんは素直にそれに応じる。やっぱり女の子は甘い物が好きだな。そう感じた。