冬の恋、夏の愛

けんかをしたわけでもないのに、なんとなく気分が晴れないまま、一日が過ぎた。いつもの時間に仕事を終えて帰宅した。真っ暗な部屋は、莉乃ちゃんの温もりを感じられなくて、寂しくなった。

仕方がない。今日は、会社の飲み会なんだから。そう自分に言い聞かせながら、コンビニ弁当を温めた。

本当に、会社の飲み会なんだろうか？

温まったコンビニ弁当をぼんやりと眺めると、嫌な予感で頭の中がいっぱいになった。

そうだ。店まで迎えに行こう。莉乃ちゃんが話していたことが本当ならば、二十一時過ぎに店に行けば、近くで会えるだろう……。

莉乃ちゃんのことは、信じている。自分に自信がないばっかりに、莉乃ちゃんを疑ってしまう……という、矛盾に耐えきれなくなったオレは、身支度をして、家を飛び出した。

早く、莉乃ちゃんに会いたい。手を繋いで帰って、温かいカフェオレを飲もう。そうすれば、加茂さんの誘いにのったことも、聞かなかったことにして、忘れるから……。