冬の恋、夏の愛
⑥
涼介は何も言わず、オレを一晩泊めてくれた。
「今日は、帰れよ」
朝、区役所の近くの喫茶店でモーニングを食べていると、涼介が言った。
「子どもみたいに拗ねていないで。会って、きちんと話せよ?」
「……わかった」
「ヨシ。じゃあ、四人でメシ、行こう。穂花に連絡しておく」
四人でメシの後は、別れ話か。まずは、莉乃ちゃんの話を聞こう。どういうつもりで加茂さんと食事に行ったのか。オレに愛想をつかしたのか、それとも加茂さんを好きになったのか。
聞きたいことは山ほどある。うまく聞き出せるかはわからないけれど、莉乃ちゃんには嘘をついてほしくない。
別れるなら、別れる、で。すべて正直に話してほしいと思った。
「寿彦、トーストが硬くなるよ? 早く食べなよ」
目の前には、手をつけられないモーニングプレートが、早く食べてよと言わんばかりに並んでいた。
「うん……いただきます」
トーストをひと口食べると、涼介が苦笑いをした。
「オマエ、よっぽど莉乃ちゃんに惚れているんだな」
「……別に」
小さな声で少し抵抗するオレを、涼介は鼻で笑った。
「けんかか浮気か知らないけれど、へこみっぷりが半端ないよ?」
そう言われると、返す言葉がなかった。
「今日は、帰れよ」
朝、区役所の近くの喫茶店でモーニングを食べていると、涼介が言った。
「子どもみたいに拗ねていないで。会って、きちんと話せよ?」
「……わかった」
「ヨシ。じゃあ、四人でメシ、行こう。穂花に連絡しておく」
四人でメシの後は、別れ話か。まずは、莉乃ちゃんの話を聞こう。どういうつもりで加茂さんと食事に行ったのか。オレに愛想をつかしたのか、それとも加茂さんを好きになったのか。
聞きたいことは山ほどある。うまく聞き出せるかはわからないけれど、莉乃ちゃんには嘘をついてほしくない。
別れるなら、別れる、で。すべて正直に話してほしいと思った。
「寿彦、トーストが硬くなるよ? 早く食べなよ」
目の前には、手をつけられないモーニングプレートが、早く食べてよと言わんばかりに並んでいた。
「うん……いただきます」
トーストをひと口食べると、涼介が苦笑いをした。
「オマエ、よっぽど莉乃ちゃんに惚れているんだな」
「……別に」
小さな声で少し抵抗するオレを、涼介は鼻で笑った。
「けんかか浮気か知らないけれど、へこみっぷりが半端ないよ?」
そう言われると、返す言葉がなかった。