冬の恋、夏の愛
第六章 決戦
①
次の日から、仕事が終わった後、毎日バッティングセンターに通った。休みの日には、朝早くからバッティングセンターに向かい、チームでの練習もこなして、夕方まで帰らない日々が続いた。
今は甘い時間もおあずけ。それもこれも、すべてはふたりの未来のためだ、と自分に言い聞かせた。
試合まであと一週間に迫った、日曜日。地元企業の草野球チームと練習試合を行なった。
身体のキレが良く、守備も冴えていた。今日は、一、二打席ともにヒット。三打席目で打つことができれば、猛打賞。気合い充分で打席に立った。
「……っ!」
思わず、声をあげてしまった。初球を左手に当てられた。死球で涼しい顔をして一塁に向かったけれど、左手には激痛が走っていた。親指の付け根のあたりが痛い。確認すると、青黒くなって、腫れていた。
言わなければ、わからないはずだ。試合は、激痛を伴ったまま、進んでいった。
結局、ホームに生還できないまま、イニングを終えた。ベンチに引き上げるなり、監督に手招きをされた。
「手は、大丈夫か?」
小さくうなずいて見せると、左手首を握られ、思わず顔をしかめた。
「あー、折れているかもな」
……薄々、気づいてはいた。でも、悪いようには考えたくなかった。
「大丈夫です。行きます」
握られた手を振り払い、ベンチを出ると、ショートの守備についた。
今は甘い時間もおあずけ。それもこれも、すべてはふたりの未来のためだ、と自分に言い聞かせた。
試合まであと一週間に迫った、日曜日。地元企業の草野球チームと練習試合を行なった。
身体のキレが良く、守備も冴えていた。今日は、一、二打席ともにヒット。三打席目で打つことができれば、猛打賞。気合い充分で打席に立った。
「……っ!」
思わず、声をあげてしまった。初球を左手に当てられた。死球で涼しい顔をして一塁に向かったけれど、左手には激痛が走っていた。親指の付け根のあたりが痛い。確認すると、青黒くなって、腫れていた。
言わなければ、わからないはずだ。試合は、激痛を伴ったまま、進んでいった。
結局、ホームに生還できないまま、イニングを終えた。ベンチに引き上げるなり、監督に手招きをされた。
「手は、大丈夫か?」
小さくうなずいて見せると、左手首を握られ、思わず顔をしかめた。
「あー、折れているかもな」
……薄々、気づいてはいた。でも、悪いようには考えたくなかった。
「大丈夫です。行きます」
握られた手を振り払い、ベンチを出ると、ショートの守備についた。