冬の恋、夏の愛
スリーボール、ツーストライクでフルカウント。吉城さんが踏ん張るか、加茂さんが打つか……ショートの守備位置から、その背中に視線を送る。

カキーンと、快音が響いた。打球は伸びていく……。加茂さんの犠牲フライで、ついに均衡を破った流星サンダーズが一点をあげた。

青空スターズはピンチが続いたが、なんとか一点だけに抑えて、六回裏が終了した。

七回表、青空スターズの攻撃。先頭バッターは、オレだった。まだノーヒットのオレに対し、加茂さんは余裕たっぷりのピッチング。キレのあるストレートを、ビシッと決めてくる。

なんとかくらいつくが、ファールゾーンにきれていく……。ノーボール、ツーストライクと追い込まれた。三球目は全く手が出ず、ストライク。

「……くっ」

見逃しなんて、情けない。悔しさのあまり、バットで地面を叩きつけた。まだ、もう一回、チャンスはあるはずだ。次の回こそは……そう誓って、ベンチに戻った。


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