冬の恋、夏の愛
試合は一対0のまま、最終回を迎えた。
九回表、ツーアウトで打順が回ってきたときだった。
「かっとばせー! 寿彦!」
その声に、はっとした。莉乃ちゃんが、スタンドから声を張り上げていた。
「ホームラン、ホームラン、寿彦!」
恥ずかしくなるくらいの声援と、手拍子。このまま、終わるわけにはいかない。
「かっとばせー! 寿彦」
バッターボックスに入ると、加茂さんを睨みつけるように見た。あとひとり抑えれば、ゲームセット。そのプレッシャーもあるのか、三球連続してボールだった。四球目は、際どい位置にストライクが入った。
「寿彦さーーーーん!」
莉乃ちゃんの声援を背中に受けながらの五球目。カキーン、と快音が響いたものの、打球はファールゾーンにきれていった。
これで、フルカウント。打つか、抑えられるか。試合を左右する、運命の一球。
「寿彦さん、打って!」
六球目は、加茂さんの勝負球でくるはずだ……。キレのあるストレートを、フルスイングでぶっ飛ばした。
九回表、ツーアウトで打順が回ってきたときだった。
「かっとばせー! 寿彦!」
その声に、はっとした。莉乃ちゃんが、スタンドから声を張り上げていた。
「ホームラン、ホームラン、寿彦!」
恥ずかしくなるくらいの声援と、手拍子。このまま、終わるわけにはいかない。
「かっとばせー! 寿彦」
バッターボックスに入ると、加茂さんを睨みつけるように見た。あとひとり抑えれば、ゲームセット。そのプレッシャーもあるのか、三球連続してボールだった。四球目は、際どい位置にストライクが入った。
「寿彦さーーーーん!」
莉乃ちゃんの声援を背中に受けながらの五球目。カキーン、と快音が響いたものの、打球はファールゾーンにきれていった。
これで、フルカウント。打つか、抑えられるか。試合を左右する、運命の一球。
「寿彦さん、打って!」
六球目は、加茂さんの勝負球でくるはずだ……。キレのあるストレートを、フルスイングでぶっ飛ばした。