冬の恋、夏の愛

青空スターズは勝てなかったけれど、加茂さんはふたりの仲を裂くようなことはしなかった。

でも、また加茂さんみたいな男が現れて、莉乃ちゃんを誘惑することがあるかもしれない。

自分には自信がない。自信がないけれど、莉乃ちゃんを愛する気持ちは誰にも負けない自信がある。

だから、決めた。決めたけれど、さっきから同じ店の前を、行ったり来たりしていた。

百貨店に面した通りにある、宝石店。普段、あまりアクセサリーを身につけない莉乃ちゃんだけれど、ふたりで歩いていたとき、目を奪われていたものがあった。

そのときは、さほど気にもならなかったけれど。莉乃ちゃんが見ていたものが、単なるアクセサリーではなかったことにようやく気がついた。

勇気を出して、宝石店に足を踏み入れた。男がひとりで来ると、不審がられると思ったけれど、意外と男性客もいてホッとした。

……それにしても、いろいろなデザインがあるな。値段もピンからキリまで。サプライズで渡そうと思っていたけれど、オレの好みで選ばない方が良かったかな? とか思ったり。

「何かお探しですか?」

ついに、店員さんに声をかけられてしまった。

「あ、はい……」


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