最期に死神は愛を唄う。
彼は普通の死神でした。
一日に数人、多い日には数十人の魂を狩りました。
それが仕事ですから。
そしてノルマを果たしたら、必ず『彼女』の元へ行きました。
彼女は普通の人間で、彼の事を知らないし、彼の姿も見えないし、勿論「彼に見られてる事」を知る由もありません。
それでも良かったのです。
彼女を見守る事。
それが彼の人生(人生と言っていいのでしょうか?)における最大の喜びでしたから。
そう―…
彼は彼女を愛してたのです。
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