婚約指環は手錠の代わり!?
グラスを半分も空けたころ、目を細めて涼太が笑った。
わたしもなんだか楽しくて、ふふっとわらう。

うん、楽しい。
あたまが少し、ふわふわする。

「朱璃は可愛いなー」

涼太の手が伸びてきて、さらりと軽く、私の前髪を払う。

「りょう、たー?」

「俺、朱璃が好きなんだけど」

「す、き……?」

なんだかその言葉を聞いたら、涙がぼろぼろと零れ落ちてきた。

「なんで云ってくれないのかな」

「え?
もしかして俺が云うの……」

「なんで海瀬課長は云ってくれないのかな」

どうして私、泣いてるんだろ?
涼太だって困ってるのに。

「やっぱりあいつと付き合ってるのか?」
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