婚約指環は手錠の代わり!?
涼太が家まで送ってくれた。
まだ少し、足がふらついていたから。

帰り道、微妙な空気だったが仕方ない。

海瀬課長のマンションか、自分のアパートか迷って、自分のアパートに送ってもらった。
ひとりで、海瀬課長のいない広いマンションにいたくないっていうのもあったから。
アパートはさっさと解約しろと海瀬課長には云われているが、いつ、どうなるのかわからないからそのままにしてる。

「朱璃。
やっぱり、俺にしない?」

アパートの前。
なぜか私の視界を遮るかのように涼太に前に立たれた。

「涼太?」

「俺だったら絶対、朱璃を泣かせないよ」

涼太の手が肩に置かれて、少しずつ顔が近づいてくる。

……あれ?

一瞬、唇にふれたなにか。

「よく考えておいて」
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