婚約指環は手錠の代わり!?
もしかして、いないとか?

不安で、どうしていいのかわからなくて、膝を抱えて丸くなる。

なんでこんなことになってるんだろ?
涼太にキスされたから?

「ひっく。
謝るから、ひっく。
これ、外してください……」

知らず知らず、涙があふれてくる。

昨日の海瀬課長の冷たい顔。
私が傷つけたから、あんな顔させた。
謝って許してもらえるとは思わないが、謝りたい。

 
キィ、ドアの開く音が聞こえた気がして、泣きすぎてぼーっとなったあたまで顔を上げた。

「海瀬、課長……」

ドアに左肩を預けて腕を組み、スーツ姿の海瀬課長はじっとこっちを見ている。

「ごめんなさい。
朱璃が悪い子でした。
涼太とふたりだけで飲みに行ったりするから」

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