婚約指環は手錠の代わり!?
わけもなく涙が込みあがってくる。
夢中で腕を伸ばして抱きついたら、手錠はいつの間にか外れていた。

「ん?」

泣いてる私の背中をあやすように、とん、とん、としている海瀬課長の手は優しい。

「十分反省したか?」

「した、からっ」

唇が、涙を拭ってくれる。

「なら、いい」

海瀬課長が両手で私のあたまを掴み、唇が重なる。
角度が変わるたび、どちらのものともわからない甘い吐息が落ちた。
海瀬課長の手が、私の髪をぐちゃぐちゃにかき乱す。

昨日の暴力的なキスとは、まるで違うそれ。
いつの間にか押し倒されたベッド。

そっと海瀬課長の眼鏡を外してみたら、その奥の瞳は熱く潤んでた。

「海瀬、課長」

……好き。
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