婚約指環は手錠の代わり!?
「すみません!
勘弁してください!」

大慌ての高見さんに笑いながら。

……心の中はずっともやもやしてた。

 
今日は少し残業しただけで帰れたから、一緒にいつも通りスーパーに寄り買い物をする。

小麦粉、バター、砂糖。

カゴに入れられるそれらに、前はただ単に買い置きがなくなったからだろうと思っていたが、意味がわかるとなぜかイラッとした。

「朱璃?」

カゴの中身を、速攻で黙って棚に返していく。
何度かそれをやってると、海瀬課長に顔をのぞき込まれた。

「なにやってるんだ?」

「別に」

不機嫌に、頬を膨らませて答えたら、人差し指と中指でむにっと挟んで潰された。

「怒ってるだろ、さっきから」

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