婚約指環は手錠の代わり!?
新橋さんとの関係が気になりながらやってきた、私の誕生日。
海瀬課長は私のお気に入りのレストランに予約を入れていてくれた。
個室に案内されて、椅子に座る。

……でも。
心臓はずっとばくばくしてた。

いつ、聞こう。
海瀬課長に、私はなんなのかって。
また、彼女じゃないって云われたら、そのときは。

 
きっと誕生日だからこんなところに連れてきてくれたんだと思うが、普通に食事だし、誕生日おめでとうの一言もない。

「具合でも悪いのか?」

「あっ、……いえ」

海瀬課長の眉根が寄って、慌てて笑って取り繕う。

……海瀬課長に聞いて、望む答えがもらえなければこれでおしまい。

きっと、そんなことはないと信じたいけど、自信が持ってない。
それに、そのときは終わりにすると自分で決めたのに、ここにきて迷ってしまう。

「デザートです」

「うわーっ」
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