婚約指環は手錠の代わり!?
目の前に置かれたお皿の上は花畑になっていた。
小さな、丸いケーキの上、どうやったらこんな風にできるんだろうって、クリームでできた色とりどりのお花がたくさん載っている。
さらにはお皿の上に、Happybirthdayの文字。

「これって」

「今日は自分の誕生日だということも忘れたのか?」

にやり、海瀬課長の右頬だけがあがった。

「……ありがとうございます」

嬉しくて頬が熱くなる。

やっぱりちゃんと、わかっててくれたんだ。
嬉しい、けど。
さらに聞くのが怖くなった。

 
デザートが終わって黙ってコーヒーを飲む。
すぅーっ、目の前にテーブルの上を滑ってきた小さな箱。

「これ」

「誕生日、プレゼントだ」

煙草が吸えないからか、少しイラッとした声に身が竦んだ。

「……開けても?」
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