婚約指環は手錠の代わり!?
一本吸い終わって少しだけ歩くと、会場の居酒屋に着いた。

「待たせたな」

海瀬課長が一緒だったせいか、武本さんにじろりと睨まれるくらいで責められることはなかった。
できれば末席に座りたいのに、空いてるのは海瀬課長の隣でなにかの罰ゲームかとか思ってしまう。

「じゃあ、改めて芹口さんの歓迎会を始めたいと思います。
……芹口さん」

海瀬課長の補佐的存在、係長の三井さんに促されてその場に立つ。

「芹口です。
まだわからないことばかりですが、頑張って早く一人前になりたいと思います。
よろしくお願いします」

ぱん、お約束に拍手が起こりかけた瞬間。

「……頑張って一人前になれれば世話ないし」

隅の方から聞こえてきた声に、しーん、その場が静まりかえる。

「ほら、武本さん。
やる気がないよりいいでしょ」

「三井さん、その子の肩持つんだー?
やっぱり、若くて可愛いから?」
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