婚約指環は手錠の代わり!?
すでにだいぶ酔ってる武本さんはなおも絡んできて、三井さんの口元はぴくぴくとひきつっていた。

「いや、別にそういう訳じゃないけど?」

「へー?
ほんとにー?」

凍り付いてる一同にどうしていいんだかわからなくて、立ち尽くしてしまう。
おろおろと彷徨わせた視線の先、目に入ってきた海瀬課長は……つまらなそうにおしぼりで手を拭いていた。

「もういいか?
誰のせいとは云わないが、いい加減腹が空いてるんだが」

私の隣から聞こえてきた声に、室温はさらに氷点下まで下がる。

「ああ、そうですね。
それでは乾杯を。
海瀬課長、よろしくお願いします」

三井さんに目で合図されて、ようやく腰を下ろした私と反対に、海瀬課長が立ち上がる。

「僕もつい先日、三課に異動してきたばかりで至らない点も多いと思うが。
芹口君共々よろしく頼む。
じゃあ、乾杯」

「乾杯」
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