婚約指環は手錠の代わり!?
借りた充電器から携帯を引き抜き、部屋を出るとすでに海瀬課長は起きていた。

「おはよう。
さっさと準備しないと遅刻するぞ」

「は、はい」

見ていた携帯から視線をあげると、海瀬課長は立ち上がった。
出てきた私とは反対に、寝室に入っていく。
私が起きるのを待っていてくれたようだ。

 
洗顔、身支度をすませてリビングに行くとパンの焼けるいい匂い。

「朝食」

「ありがとうございます」

テーブルの上にはぱりぱりに焼けたバケットにサラダ、それにベーコンエッグ。
いつもトースト一枚ですませてしまう私とは大違い。

「急いで食べろ。
君が起きてくるのが遅いから、時間がない」

「はい」

ゆっくり堪能したいところだが、せかされてがつがつ飲み込んでいく。
< 33 / 136 >

この作品をシェア

pagetop