婚約指環は手錠の代わり!?
「はい」

「はい」

まるで邪魔するかのように飛んでくる海瀬課長の声。

「ごめんね」

「いえ、仕方ないですから」

ひとりになると……はぁーっ、ため息が漏れる。

最近、海瀬課長に嫌がらせされてるとしか思えない。

相変わらずお昼は、涼太と食べてると隣に座ってくるし。
飲みに行く相談してたら、必ず残業入れられる。
課内の人間と食事に行く相談してると、やっぱり残業入れられたり、さっきみたいに手伝いを妨害されたり。

なにか海瀬課長の気に障るようなことをしたんだろうか?
心当たりといえば、歓迎会のときに寝落ちしたことくらいなんだけど。
それで、なのかな……?


「……はぁーっ」

「朱璃、疲れてる?」

心配そうに涼太が私の顔をのぞき込む。
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