婚約指環は手錠の代わり!?
涼太に目配せすると意味がわかったみたいで頷いた。
海瀬課長に聞こえるところで相談してるから悪いのだ。
知らないところで相談すれば。


 
同期飲み会の金曜日。

武本さんからいつものように大量の仕事を押しつけられたが、お手伝いいただいて少し遅れるくらいで行けそう。
海瀬課長からの妨害もなし。

行ける、今日こそは楽しい飲み会に行ける!

「お疲れさまでしたー。
お先に……」

「芹口君」

定時を少し回って仕事は終わった。
このまま走れば間に合う、そう思って部屋を出かけたら。
私の声を遮るように発せられた海瀬課長の声に、ぎくりと背中が揺れる。

「書類。
やり直し」

ばさばさ、海瀬課長の手から机の上に落とされる、書類の束。

「で、でもそれ、週明けでも間に合いますよね……?」
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