婚約指環は手錠の代わり!?
「芹口さん、ほら、もう一度並んでおいで。
もちろん、海瀬くんの支払いだから」

新橋さんに促されて列に並び直す。
涼太は新橋さんと少し話して、席に戻っていった。
さっきは唐揚げ定食にしてたけど、食欲が失せてきつねうどんにした。

「支払いは僕が」

会計まで進むと、いつの間にか後ろに立っていた海瀬課長が払ってくれる。
新橋さんを捜すとすぐに手招きしてくれた。
前に座ると当然のように隣に海瀬課長が座ってくる。

「芹口さん、やっかいなのに気に入られっちゃねー」

いただきます、いつものように律儀にそう云って手を合わせると、海瀬課長は黙々とごはんを食べ始めた。

「えっと。
気に入られたって……」

誰に?

「海瀬くんに」

薄々は気づいてましたが、はっきり云われると傷が深いです。

「この人ねー、いろいろめんどくさいんだー。
だから長続きしないの」
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