婚約指環は手錠の代わり!?
「泣きやんだか?
なら帰るぞ」

入ってきたのが海瀬課長だったからよかったけど、これが別の人だったらと思うとぞっとする。

いまは、ここにいたくない。
素直に戻るのはしゃくだけど。

「帰るんだったらアイス買ってくれますか?
マカダミアナッツの奴」

ふて腐れ気味に上目で云ったら、レンズ越しにあった目がすぅーっと逸れた。

「夜遅くに食べたら太るぞ」

「いいんです」

手を引かれて部屋を出る。
車に乗る頃にはだいぶ機嫌は直ってた。

 
帰りにちゃんと、コンビニに寄ってアイスを買ってくれた。

マンションに戻るとお風呂に入れてくれて、あがると足のあいだに座って後ろから抱っこされてアイスを食べる。

「朱璃はひとりになりたいみたいだから、ひとりで寝るといい」
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