冷たい雨の降る夜だから
「翠、大丈夫?」
向かいに座っていた愛香に声をかけられて我に返る。とっさに大丈夫と答えたものの、自分が今どんな表情をしているのかすら判らなかった。心配そうな眼差しを向けてきた愛香に、もう一度「大丈夫」と笑って、氷が解けて水の層が出来てしまっていたパイナップルフィズをかき混ぜて喉に流し込んだ。
ピリリと喉を刺激する炭酸とアルコール。急に摂取したアルコールにトクトクと速くなる心臓。隣でさやかが月曜日の合コンで仲良くなった人の事を、楽しそうに話しているのが漸く聞こえてきた。
去年のクリスマス前に当時付き合っていた彼と別れたさやかは、それ以来バレンタインまでには頑張るんだから! と気合を入れて合コンに挑んでいる。そのバレンタインまでも、もう一か月切った。ちゃんと彼氏が出来たらいいと思う。自分の事でなければ。
「ねーえ。翠はやっぱ合コン行かない? たまにはどう?」
隣のさやかの言葉に、いつもと同じ答えを笑って告げる。
「行かない、かな」
もう恋なんてしない、そんな気持ちになる様な素敵な恋愛をしたわけじゃない。むしろ逆。
男の人の所有物になるなんて。そんなの、もうこりごりだった。
向かいに座っていた愛香に声をかけられて我に返る。とっさに大丈夫と答えたものの、自分が今どんな表情をしているのかすら判らなかった。心配そうな眼差しを向けてきた愛香に、もう一度「大丈夫」と笑って、氷が解けて水の層が出来てしまっていたパイナップルフィズをかき混ぜて喉に流し込んだ。
ピリリと喉を刺激する炭酸とアルコール。急に摂取したアルコールにトクトクと速くなる心臓。隣でさやかが月曜日の合コンで仲良くなった人の事を、楽しそうに話しているのが漸く聞こえてきた。
去年のクリスマス前に当時付き合っていた彼と別れたさやかは、それ以来バレンタインまでには頑張るんだから! と気合を入れて合コンに挑んでいる。そのバレンタインまでも、もう一か月切った。ちゃんと彼氏が出来たらいいと思う。自分の事でなければ。
「ねーえ。翠はやっぱ合コン行かない? たまにはどう?」
隣のさやかの言葉に、いつもと同じ答えを笑って告げる。
「行かない、かな」
もう恋なんてしない、そんな気持ちになる様な素敵な恋愛をしたわけじゃない。むしろ逆。
男の人の所有物になるなんて。そんなの、もうこりごりだった。