冷たい雨の降る夜だから
「さすがの菊池もバレンタインの夜に男と一緒に寝てるんじゃ諦めたみたいだけどね」
さやかははぁとため息をついた。
「さやか達、翠にあっさり出し抜かれちゃったわけね。で、夏帆はいつから知ってたわけ?」
愛香はあははと軽く笑って、例によって1人けろっとしている夏帆に視線を移した。夏帆はふふっと口元に笑みを浮かべる。
「付き合う前から。翠が激鈍すぎてどうなるかと思った」
そんな夏帆の答えに愛香が「やっぱり鈍いんだ」とクスクス笑う。そこまで鈍いつもりは無かったんだけど、やっぱり私は傍から見ると鈍かったらしい。
「ええー、何それ。なんで夏帆はいっつも最初に聞いてるわけ?!」
「そりゃ、さやかと里美は口が軽すぎ」
愛香がさも当然そうに言って、不満げな表情をしているさやかと里美をニヤリと見て付け足した。
「二人とも、前科持ちだしね」
クスクス笑う愛香に気まずそうにさやかと里美が目を逸らす。愛香が言う前科、それは夏帆と竹原さんが付き合いだした時の事。姦しいこの2人に知れるや否や、あっという間に営業部の全員に知れ渡っていった。
「それにしても、翠に彼氏かぁ」
意外と言う様に愛香が私を見る。私だって自分でびっくりしてる。だって、3週間しか経っていない。先生から電話が来たのが……丁度3週間前の月曜日。6年間言葉も交わさなかったのに、たった3週間で結婚の約束までして、今でも頭がパンクしそうだ。
「で、服も彼氏の好みに合わせちゃったわけ?」
そう言って視線を向けられた私の今日の服は、土曜日に藍と買った服。着替えを持たずに先生の所に行ってしまったから、これらを着ざるを得なかった。なるべく地味にコーディネートしたものの、やっぱり今までの服とはだいぶ違った格好になってしまっていた。
「んー、服はそういうわけじゃなくて。女子力皆無とか散々言われて」
そういえば、ちゃんと確認したことは無いけど、先生ってどういう女の人が好みなんだろう。私、自分の好きな服ばっかり買ったけど、先生の好みからかけ離れてたりしないのかな?
「彼氏に?」
「ううん、妹に」
「……」
さやかははぁとため息をついた。
「さやか達、翠にあっさり出し抜かれちゃったわけね。で、夏帆はいつから知ってたわけ?」
愛香はあははと軽く笑って、例によって1人けろっとしている夏帆に視線を移した。夏帆はふふっと口元に笑みを浮かべる。
「付き合う前から。翠が激鈍すぎてどうなるかと思った」
そんな夏帆の答えに愛香が「やっぱり鈍いんだ」とクスクス笑う。そこまで鈍いつもりは無かったんだけど、やっぱり私は傍から見ると鈍かったらしい。
「ええー、何それ。なんで夏帆はいっつも最初に聞いてるわけ?!」
「そりゃ、さやかと里美は口が軽すぎ」
愛香がさも当然そうに言って、不満げな表情をしているさやかと里美をニヤリと見て付け足した。
「二人とも、前科持ちだしね」
クスクス笑う愛香に気まずそうにさやかと里美が目を逸らす。愛香が言う前科、それは夏帆と竹原さんが付き合いだした時の事。姦しいこの2人に知れるや否や、あっという間に営業部の全員に知れ渡っていった。
「それにしても、翠に彼氏かぁ」
意外と言う様に愛香が私を見る。私だって自分でびっくりしてる。だって、3週間しか経っていない。先生から電話が来たのが……丁度3週間前の月曜日。6年間言葉も交わさなかったのに、たった3週間で結婚の約束までして、今でも頭がパンクしそうだ。
「で、服も彼氏の好みに合わせちゃったわけ?」
そう言って視線を向けられた私の今日の服は、土曜日に藍と買った服。着替えを持たずに先生の所に行ってしまったから、これらを着ざるを得なかった。なるべく地味にコーディネートしたものの、やっぱり今までの服とはだいぶ違った格好になってしまっていた。
「んー、服はそういうわけじゃなくて。女子力皆無とか散々言われて」
そういえば、ちゃんと確認したことは無いけど、先生ってどういう女の人が好みなんだろう。私、自分の好きな服ばっかり買ったけど、先生の好みからかけ離れてたりしないのかな?
「彼氏に?」
「ううん、妹に」
「……」