無愛想教師の恋愛事情
* * *

「なあ。唯」
「なに?」

ドラマに夢中の唯に話しかける。姉ちゃんは風呂に入っていて、部屋にはいない。

「一之瀬先生と姉ちゃん、お前どう思う?」

単細胞の唯に、とりあえず聞いてみる。

「お似合いだと思う。」

「お似合いか?教師と受け持ちの生徒の身内だぞ?しかも、こっちは親はいないわ、世話する弟妹はいるわ…。」

「お互い好きなら関係ないっしょ。あたし、うちに来る一之瀬先生ならお兄ちゃんになってもいいよ。学校の先生は嫌だけど。」

唯は全くテレビから視線を外さずに答える。

「ばっか!お前気が早いってゆうか、俺は全然お似合いとは思えねえよ。」

やっぱ、こいつに聞くだけ無駄だったなあ。

「あーゆうタイプは、絶対女がほっとかないだろ。
学校で無愛想なのは自己防衛と俺はみた。絶対、学校の外では女にモテまくってるんだよ。女の一人や二人いても不思議じゃないし。
仮に、あんなのと付き合っても、そのうち浮気されて捨てられるのがオチだろ?」

「…。」

なんとか言えよ。

なんにも返ってこないと思ったら、ドラマがクライマックスだったようで。俺の力説は聞き流された模様。

はぁ…。あんなイケメン野郎に泣かされて捨てられる姉ちゃんなんか、見たくねえよ…。
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