君を忘れない~妄想の中の王子様
海辺のそばのちょっとした段差につまづき、私は、バランスを崩して転びそうになってしまった。
とっさにレイが、私を抱き留めた。
「ったく、危なっかしいな。……ほら!」
私を立たせてから、改めて左手を出して彼が、言った。
(えっ!?)
と、思いながらも、おずおずと、差し出された大きな手を握った。私の大好きな手。とても、温かい。
「きれいだな。」
「えっ?」
「見ろよ。星。」
「あっ、本当。きれい。」
手をつないで、こうして一緒に歩くだけで、なんだか幸せで、舞い上がっていた。
でも、こうして、レイと見た星空の美しさを、ずっとずっと、忘れたくない。そう、思った。