君を忘れない~妄想の中の王子様
驚いていると、彼は、脱いだシャツをふわりと広げ、優しく私に後ろから羽織らせた。
その時初めて、私は、自分がびしょ濡れであることに気づいた。白いドレスが、透けていることにも……。
「あ、ありがとうございます。」
恥ずかしくて、ますます頬が熱くなる。羽織っているシャツで、胸元をかくしながら、あわててお礼を言った。
「歩けるか?」
私の言葉には答えず、彼は言った。
「はい。」
返事をしたものの、立ち上がろうとすると砂浜に足をとられ、ふらついてしまった。