君を忘れない~妄想の中の王子様
「はじめまして。私は、サラよ。レイの身元引受人。よろしくね。」
笑顔でそう言って、サラは、右手を差し出した。
「はじめまして。私は、…」
私も、右手を差し出し、サラと握手した。小さくてしわくちゃだけど、暖かい手だった。
「私は、リーファ。私は……!」
……わからない。自分の名前以外、何も思い出せない。
どうしよう……。
しばらくの沈黙があった。
……っ。思い出そうとすると、頭が痛い。
「ごめんなさい。それ以上 思い出せません。」
正直に、そう言うしかなかった。