先生、解けない問題があるのですが。



「無視すんなよ」


ガシッ


渚を引っ張っていた、逆の手を
長瀬に掴まれる。




遂に捕まってしまった。




「真鍋さん、ゴメン。ちょっとコイツ借りてもいい?」

「は、はい!どーぞ、どーぞ!!
私、今日委員会なので!!
じゃ明日ね、花菜!」

「ちょっ、渚!!」


反対方向へ走っていく渚。

ったく、渚ったら
イケメンには弱いんだから……






「なにボサッとしてんだよ」



「いたっ」



急に上から、チョップを喰らう私。



「帰るぞ、負け犬」



「ま、負け犬ーー!!?私のどこが負け犬なのよ!!」



「うっせぇな、賭けに負けたのはお前だろ?負け犬は負け犬。」


んなっ……!!

悔っし〜〜!!



「……ちょっと。さっきまでの優しくて
完璧な長瀬くんは何処いったわけ??」


「は?ここにいるけど?」


何か問題でも?と言わんばかりの表情に、超上から目線の長瀬。





お分かり頂けただろうか。


そう、コイツ、長瀬諒也は
親切で、イケメンで、とっても優しい理想のジェントルマン!!




………と思いきや、

それは表向きの性格でして、

実はめちゃくちゃ自己中で、根性のひん曲がった、超計算高い頭脳明晰者
っていうのがコイツの本性。




この腹黒二重人格男め……!!








…………そんな腹黒二重人格男、
長瀬諒也と私は
中2の頃から、毎回のテストで賭けをしている。

学期ごとのテストで
順位の低かった方が
相手の言うことを一週間聞く
というものだ。



私の気分が萎えていたのはこのせい。


今回の中間テストで長瀬に負けたからなんです……




なんでこんな賭け事をしてるのかって?




………まぁそれは、追々分かることとして。
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